校内にICTを浸透させるのに私がしたこと③

教育

 令和4年度入学生からBYODで一人一台が導入されることから、使用するクラウドサービスを選定する必要がありました。それまでMicrosoft365を使用していたのですが、Chromebookを使う可能性もあることなどから、令和4年度からGoogleWorkSpaceを使用することに決まりました

 Microsoft Teamsの活用が進んできており、ノウハウも蓄積されてきたタイミングでの変更でしたので、移行は大変でした。MicrosoftもGoogleも似たようなクラウドサービスを持っていますが、それぞれターゲットが異なるように思います。Microsoftはどちらかというとビジネス向け、Googleは教育機関向け、という気がします。例えばGoogle Classroomは生徒への課題配信や採点などが簡単にできますが、コミュニケーションツールとしては弱い側面があります。

 令和4年度はこのGoogleWorkSpaceをどうやって活用してくかの方向性を作っていく必要があったのです。このときICT推進委員長は3代目に変わりました。そして、私が常々言ってきたICT推進委員会の「分掌化」がこの年の前期に決まりました。ICT推進委員会の目的は、教育活動におけるICT活用推進の方向性を決めることでしたが、新しい端末やネットワークの整備、アカウントの発行と管理、その他ICTと名の付くものはとにかく委員会が受け持つ、そんな風潮ができあがりつつありました。私は「方向性を決めたらあとは分掌や教科それぞれがやることだ」と考えていました。しかし、方向性が決まるまでの間は分掌部長として会議で発言し、時には強権を持って変えていく必要性がありましたから、「分掌化」を強く訴えてきたわけです。

 令和4年度後期からICT推進部として新たにスタートしました。やはりやるべきことは活用方法を模索すること。そのためにいち早くGoogleWorkSpaceのノウハウを蓄積する必要がありました。私が部員としてこの時期に行ったことは、いろいろいじってみて面白そうなことを報告することでした。特にオモシロイと思ったのは、スプレッドシートの「クエリ」と「GAS」です。

 「クエリ」とはスプレッドシートのデータをデータベースとして扱い、SQL文で必要なデータを抽出する機能です。この機能はGoogle Formと非常に相性がよく、フォームからの回答を自動で抽出してほしい形に整理することが容易にできるようになります。私が最初に作ったのは、当時コロナ対策で行っていた「健康観察」でした。

 生徒は毎朝投稿したら自分の健康状態を紙に書いて担任に提出し、担任はそれを見て感染の疑いがないかどうかをチェックするというもので、提出していなかったり、症状があるにも関わらず登校していたりすると、担任は一々生徒を呼び出して確認する必要があり、担任を煩わせる大変な作業でした。それをフォームとスプレッドシートの連携で提出状況を瞬時に可視化し、症状のある生徒をリストアップするシステムをに置き換えました。クラウドですから、担任だけでなく副担任や養護教諭も見ることができ、お互いの確認作業を省くことができました。

 次に作ったのは朝の打ち合わせの内容を投稿して表示するシステムです。フォームで打ち合わせで話す(あるいは見てもらいたい)内容と添付資料を投稿し、スプレッドシートでその日の内容を確認するものです。運用方法に問題があってすぐには実用化されませんでしたが、ICT部長がこれを引き継ぎ形にしてくれました。

 このように私がしてきたことのほとんどは、「日常業務をICTに置き換えること」でした。なぜなら、これまで書いてきた通り「とにかく先生方に毎日使ってもらう」ためです。健康観察や朝の打ち合わせなど、どうしても毎日やらなければいけないことをICTに置き換えたことで、先生方は必ず端末に触れることになります。そのうち自分の業務や授業に活用できないだろうかと考え、それぞれが実践を積み重ねていく、そうした流れを作ることができたと思います。

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