前回の続きです。
iPad Air(第4世代)を9台手に入れましたが、使ってみたいと行ってくれた人は2人くらいしかいませんでした。とにかく使ってもらうことが大切なので、強制的に貸し出すことにしました。まずはICT委員で端末を持っていない人へ。次に使ってくれそうな人に声をかけて、6〜7台は貸し出すことに成功しました。
次に何ができるかを見せるために校内研修をしました。テストの日は午後に時間があることが多いので、1時間もらって実施しました。内容は「ICTを使った話し合い」でした。とにかく見てもらうのが一番という考えです。
先生方を5〜6人くらいのグループにして、そこにiPadを1台置きます。Keynoteで作ったスライドをそれぞれのiPadで表示して、モニター要らずのプレゼンをしました。次にOneNoteの付箋を使ったブレーンストーミング。活用例を聞いた上で、どんな場面で活用できそうかを書き出してもらいました。
リアルタイムで内容が更新されていく様子を見て、多くの先生が驚かれていました。管理職の先生も各班の討議の様子を自分の手元で見れますし、参加者も他の班の考えを見ながら討議することができます。ICTをどうやって使っていくかを考える最初の一歩としては大成功だったと思います。
そして最後に「ICTを使うことを目的としましょう」と伝えました。令和4年度から始まる一人一台BYOD環境に向けて、できることを増やしていきましょうと。
iPad9台の次は、Chromebookが十数台入る予定でしたから、私物端末で持っている人を除いて、すべての教員の一人一台が早く実現しました。そしてとにかく使ってもらう。授業で使う前に、業務で使ってもらう。そんな推進の「核」を作って、令和3年度は次の方にバトンタッチしました。
次に私が目指したのは、職員室の各島(私の学校は学年ごとに座席がまとまっているので、そのかたまりを「島」と呼んでいます)に「できる人」を1人以上置くことでした。なにか困ったことがあればその人に聞けばなんでも分かる。そうすれば次の「できる人」ができる。そんな感じで裾野を広げていくことにしました。
とはいえ令和3年度からはICT推進委員長ではなく(進路指導部長になったので)、ただの委員でしたから、できることと言えば、自分の分掌でICTを使ってもらうことでした。当時はまだGoogleWorkSpaceを使えない状況だったので、浸透させるのに難しい部分はありましたが、会議のときにはタブレットを持参するということは定着させることができました。また、業務進捗確認や来客のアポがあったことを知らせるのにTeamsを使ったり、進路希望調査をフォームで行ったりと、それまで紙で行っていたことを次々とICTに切り替えていきました。それで、「ICTを使っていくんだ」という姿勢は理解していただけたのではないかと思います。
ICT委員としては、研修に力を入れました。教師の一人一台が実現したので、まずは「ログインの方法」からやりました。「ログインから?」と思う方も多いと思いますが、それくらい教育現場でのICTは遅れていたのです。研修でログインの方法を聞いても、その後使わなければアカウントやパスワードを忘れてしまいますので、毎日使ってもらえるような工夫が必要でした。
いきなりすべての先生に毎日使っていただくことは難しいので、興味を持ってくれた先生に絞って、いろんな情報を提供しました。例えばTeamsのチャット機能を使った課題回収と添削の方法。例えばフォームを使った小テストの作り方と採点の方法。授業で使えそうなテクニックを少しずつ提示して使ってもらい、いつしか「これがないと授業ができない」という先生も出てき始めました。
ICT委員を中心とする「できる人」は、新しい情報を仕入れるとすぐに試してくれる人たちで、そこで盛り上がった話題を別な人にもやってみてもらうという感じでICT活用が広がっていきました。ICT推進で大切なのは先生方に「やってみたい」と思っていただくこと。そのためにできる人が使って、その様子を細かく共有すること。こういう風にICT活用を広げていきました。(ラスト③に続きます)
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