令和2年の9月ごろに校長に呼ばれ、新たに「ICT推進委員会」なるものを立ち上げたいと言われ、その委員長になってくれないかと打診されました。
その年の4月に新型コロナウイルスによる全国一斉休校が実施され、休校期間中の生徒の学習機会の保障として、校内で初めてビデオ会議によるオンライン授業やMicrosoft Teamsを使ったHR活動などを実施しました。その中心にいたのが私で、再度休校になった場合を想定して、それまでの実践をマニュアルにまとめていたので、その実績を買われての打診だったと思います。
委員会の目的は、今後来るICT教育を進めるにあたって、学校としてまず何に取り組むべきかを考えることでした。メンバーが決まり、最初の打ち合わせを迎える前に、既に私の中では結論が出ていました。
それは「教員用の端末を揃えること」です。
当時は自治体の支援もあって校内に(一部ですが)WiFi環境がありました。かつてMicrosoft社と連携していたこともあって、タブレット端末も豊富にありました。しかし端末は古く、スペックが追いついていなかったので、スムーズにクラウドサービスを使える端末が必要でした。
ICTを授業で使うとなると、どうしても生徒分の台数を確保しなければいけないのですが、コロナ休校によって一人一台端末の動きが加速され、私の学校はBYODで対応することになったため、生徒端末の心配は不要でした。それよりも、生徒が端末を購入して学校に持参するようになって、「何に使うのかが分からない」「先生が使えない」という状況にならないようにしなければいけません。
そこで私は、今すべきは「教師用端末を揃えること」としました。
一応教師用PCは一人一台揃っているのですが、重たいノートPCで持ち運びには不便。WiFiに繋ぐこともできないので、ほぼ職員室でしかネットワークに接続できません。それに思いのほか低スペック(特にメモリが足りない)ので、重たい処理ができません。
委員会のメンバーと相談し、iPadを購入して教師用端末にしようと決めました。ちょうどコロナ対策として、オンライン授業やクラウドサービスの活用に使える予算があったので、ありったけを使って買ってもらうことにしました。
冬休みに入って届いたのがiPad Air(第4世代)9台でした。無印だったら倍は買えたのにと思います。そこは事務との連携が甘かったです。
早速冬休み中にアプリをインストールしておこうと準備を始めました。これがまたなかなか大変でした。個人で使うには個人のAppleIDを使えばいいのですが、校務に使うのにそれはふさわしくありません。どうしたものかと色々調べ、AppleSchoolManagerに辿り着きました。
これは学校専用のアカウントのようなもので、登録すると自分でAppleIDを発行することができるようになります。ただし申請から登録まできちんとした審査が必要です。確か、教員からの申請内容が正しいかどうか校長に確認の電話が入ったはずです。
もう一つの問題が、2段階認証です。学校にスマホはないので電話番号を登録してショートメッセージを受け取ることができません。仕方なく学校の固定電話の番号で登録し、認証のたびに電話を受け取っていました。(タイミングを間違えると他の先生が電話を取ってしまい困惑させてしまうこともありました)
AppleSchoolManagerで発行したAppleIDではAppStoreからアプリをダウンロードすることができません。AppleSchoolManagerでアプリをダウンロードする権利を購入し、iPadをPCに接続してアプリをインストールする必要があります。そのPCがMacでなけれればならず(今はどうなんでしょうか)、結局私物のMacを持ち込んでiPad管理用に使いました。(後にMacも買ってもらいました)
どうにかこうにか冬休み中にiPad9台を使えるようにして、休み明けに先生方へ使いたい人がいないか案内しました。手が上がったのが1~2人しかおらず、やはり先生方に使ってもらうというのが最初の壁だなと感じました。幸い、私がiPadを購入したのをきっかけに「自分も」と言って買った先生が3人いたので(うちの職場は町が整備したWiFiネットワークに限って私物端末を接続してよい)、その先生方とともに使い方を考えていくことにしました。(②に続きます)
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